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人気料理店のオーナーに起こった意識の変化とは!? 株式会社SPELLO代表取締役 飯塚 宗則 氏

株式会社 SPELLO 飯塚 宗則 氏)

今回は、大阪市中央区と茨木市でイタリア料理店とフランス料理店(合計4店舗)を展開する株式会社SPELLOの創業者、飯塚宗則社長にインタビューさせていただきました。

創業から15年が経過し、数多くのメディアに取り上げられる人気料理店のオーナー社長の事業への想い、スタッフさんへの想い、そして地域の食文化への想いなどをお聞かせいただきました。

創業時とは周りの人に対する思いが変わったという飯塚氏、どのような変化があったのでしょうか?

目次

父の影響!?で自然と足を踏み入れた料理の世界

「なぜ飲食の世界を選んだのか?」といった質問はよく受けるのですが、起業したいという夢は学生のときから持っていたものの、飲食の世界に強いこだわりがあったわけではないんです。

しいて言えば、
私の父が飲食にかかわる仕事をしていて、子どもの頃に父が作ってくれた料理がおいしかったという思い出が、私を料理の世界に進ませたのかもしれません。

あとは、この世界は頑張って努力をすれば、必ず自分に評価として返ってくるというイメージがあったので、それに魅力を感じていたこともきっかけになっています。

そうは言っても、いきなり自分の店を持てるわけではないので、会社組織に属して料理人としての経験を積んできました。

ただ、どうしても勤め人の立場だと、会社からの評価に対してもどかしい思いや悔しい思いをすることが多かったですし、評価だけではなく、理不尽だなと思うこともたくさんありましたね。

この時のいろんな体験が、今のスタッフに対する接し方や待遇の仕方につながっているといいますか、いい意味で反面教師になっているので、今となっては大切な経験だと思っています。

とはいえ、
創業してしばらくは今のような考え方は持てていなかったのが正直なところです。
(思考の変化については、後ほど)

5店舗を運営したことによって得た体験

創業してからは比較的スムーズに軌道に乗っていきました。創業してすぐに雑誌の取材を受けたのが大きかったですね。

そして2店舗目の出店が大きな飛躍につながったと思います。2店舗目でつまずく飲食店が多いので、立地とこれから流行りそうな業態を入念にチェックしたうえで出店しました。

この時は、立地と業態さえ間違えなければ、スタッフが育っていなくても何とかなるかなという気持ちでしたね。
実際、このときは私自身がまだ人を育てる経験が少なかったこともあり、お店が軌道に乗った後に人が育っていったという感じでした。

ただ、この出店の仕方は長い目で会社の持続性ということを考えたときにはあまり好ましくないのでは?という考えで、「これ以降の出店は人を育ててから。」という方針に変えていきました。

そこから3店舗、4店舗、そして5店舗目の出店は順調でしたね。
「5店舗」というのは、私の目標の一つでした。

実際に5店舗されている方に、「5店舗になるとそれまでとまったく見えるものが違うよ。」と聞いていたので、その景色を見てみたかったというのと、

5店舗にするというのはスタッフにも言っていたので、自分が掲げた目標を達成する、やり遂げるという姿をスタッフに見せたいという思いもありました。

実際にやってみると、ほんとうに全然違いましたね。
それまでは私1人が走り回れば、たいていのことはどうにかすることはできたんですが、5店舗になるとそれは不可能だなと。

物理的にもそうですし、自分の思っていることがスタッフにちゃんと伝わらないなという感覚があって、こういう状態になると、スタッフ同士の衝突が増えるということを身をもって体験しました。

かかわる人たちに対する意識の変化が明確に

当然このような状況のままではいけないなと思いましたし、コロナの影響もあったので、店舗数を減らしてじっくりと体制を整えようという決断にいたりました。

その中で、あらためてこれまでのことを振り返ってみると、事業を続けていく中で一緒にお店を盛り上げてくれているスタッフが結婚したり、子どもができたり。

そして自分自身も結婚して子どもが生まれるという経験をしてきて、やっぱり縁あって一緒に働いてくれているのだから、少しでもスタッフたちの人生にいい影響を与えていきたいなと、今まで以上に真剣に考えるようになりました。

さらに、コロナで大変なときに、お客様はじめ色んな方々に励ましの声をいただいたり、応援していただいたりと、本当に自分は周りの方に支えられてやっていけてるんだなということを心から実感できました。

元々お客様に価値を提供するというのは当たり前のことと考えてはいましたが、より一層、何かお役に立てることはないか、何か特別な価値を提供できないかと考えるようになりました。

もちろん、取引先の業者さんやスタッフ、その他の当店にかかわってくださる全ての方に対してもまったく同じ思いを持っています。

知識として人のために貢献するとか、役に立つというのはわかっていましたし、やってきたつもりでしたが、本当の意味が分かってきた気がしましたね。

お店をはじめた当初は、お金を稼ぎたいとか有名になりたいとか個人的な夢や野心を叶えたいという気持ちが強かったですが、どんどんそれが薄れていって、今はこんな考え方に変わっています。

かかわるすべての人たちに感動を

実は事業的には大きなお話をいただくこともあって、会社を大きくしていく機会は増えてきてはいるのですが、
今はこれまで培ってきたことをより大切にして、それを掘り下げていきたいという気持ちのほうが強いです。

飲食業界では、店舗数そのものが会社の成長と思われていますが、私は会社の成長=店舗数ではないと思っているので、そこを目指すつもりはないですね。

それよりも今の状態をよりよくしていこうと、その先に新たな出店の可能性がゼロではないですが、まずは中を固めたいですね。

そのための取り組みの一つとして、
あらためて私の想い、そしてスタッフの想いや大切にしていることを言語化して経営理念をつくり上げました。

これまでも、ミーティングなどでスタッフには様々なことを伝えてきましたが、あらためて会社として共通の想いを言語化したことで、スタッフの意識も一段上がったように感じています。

これからは、この想いをより深いレベルで浸透させていきたいと思っています。

強みは自慢のスタッフたちが生み出した文化

当店の強みの一つは、私が現場に立ち続けていることだと思います。
飲食業界はどのお店も人手不足で大変だというお話をよく聞きますが、当店は幸運なことに、今まで危機的な人手不足には陥ったことがありません。

うちくらいの規模だと、私が現場に立ち続けていることで、私と一緒に働きたいというスタッフが集まってくれていると思いますし、これは、各店舗の店長はじめスタッフがしっかりと自分たちの店舗を守ってくれているからこそ実現できていることだとも思っています。

これは、手前味噌ですが、人や設備への投資を積極的に行ってきた結果が出てきている証拠だと思います。

スタッフ個々の技術的な面を引き上げていくということに関しては、設備投資の効果もあって、ある程度仕組化ができていて、高いレベルで商品の安定化ができているなと思います。

仮にスタッフが入れ替わっても、同じレベルで商品を提供できるというか、失われることのない会社の大きな財産として受け継いでいけると思いますね。

また、これは意図してそうなっているわけではないのですが、今でも卒業したスタッフが顔を出してくれたりだとか、

独立して頑張っている元スタッフのお店に、現役のスタッフが食べにいったりして交流し、つながっていくなかで、

私がかかわらない場所でも、どんどん大切なことを引き継いでくれている、そんな文化が育っているのかなと思います。

普段から私が伝えていることが、実際に独立したスタッフのお店を見ることによって、自分も頑張ればこんな風になれるんだ。成功できるんだ。と実感できるのだと思います。

それによって、今ここで私や先輩のスタッフから言われたことをしっかりとやれば、自分のやりたいことや夢も叶うんだということが見えているのが大きいかなと思いますね。

このようなこともあって、当店のスタッフは積極性があって学ぶ意欲が高く、接客やサービスの質も高いなと感じています。これは私の何よりの自慢です。

勉強会などで来ていただいた外部の方にも、「ばんばん質問されて積極性があってすごいですね。」とほめていただけることが多いです。

この文化はすごくはっきりしているので、これに合わないスタッフが入ってきてしまうと、はやい段階で辞めてしまうということが起こります。この点は、採用時の課題として今後改善していこうとしているところです。

スタッフの人生に責任を持つ

あまり器用なタイプではないので、
きちんとスタッフ一人ひとりと向き合うことを肝に銘じています。

人を雇うということは、
その人に人生に少なからず影響を与えることだと思うので、そこはきちんと人の人生に関与するというか、責任をもってやらないといけないという気持ちは常に持っています。

自分では、この気持ちが、スタッフの技術レベルをあげていくことをサポートすることや、頑張っている姿に報いてあげたいというところにつながっていると思います。

ツギノ世代に残したいこと

いろんな方たちに教わってきましたが、やはり人に対して誠実に向き合うことです。

わかりやすく言えば、人を大切にすること。それが何かにつながったり、何かを生み出すのではないかと思っています。

そして、そういった気持ちや姿勢で人と接するからこそ、最終的には自分のところに返ってくるのかなと思います。

あとは、私たちは飲食店なので、大阪の食文化、特にイタリア食文化は次の世代に楽しんでもらいたいというか、残していきたいなという思いはあります。このことは、当社のビジョンにも掲げています。

そしてそのためには、料理や飲食店の経営に対して意欲的な人材を育てていくことも大切だなと思っています。

大手チェーン店さんのように、大きく広げることはできないかもしれませんが、自分たちの代で終わりではなく何か社会貢献のようなこともしていきたいと考えています。

こんな人と一緒に働きたい

当たり前のことなんですが、時間をきちんと守れて、目を見てしっかりとしたあいさつができる人ですね。

人それぞれ、個性や価値観は様々ありますが、最低限のルールというか、マナーは大切にできる人と一緒に頑張れればいいなと思います。

こんな人や会社とつながりたい

想いをもって事業や仕事に取り組んでいる会社や人ですね。

いろんな分野のプロの方とかかわらせていただきますが、熱量や情熱を感じるられる人もいればそうではない人もいるので、熱意をもっている人たちとかかわりたいですね。

そういう人たちとかかわることで、こちらも勉強になりますし、いい刺激をもらえるので。

会社概要

会社名株式会社 SPELLO
所在地【本店:RISTORANTE SPELLO】
大阪府大阪市中央区久太郎町1-6-20ノーブルコート堺筋本町
【BISTRO OLIVE】
大阪府大阪市中央区難波4-5-8 1F
【ANTICA OSTERIA DAL SPELLO】
大阪府大阪市中央区難波4-7-5光栄ビル1階3号室
【TAVOLA CALDA SPELLO】
大阪府茨木市天王2-4-12ハイツ山口101
代表者代表取締役 飯塚 宗則
事業内容●イタリア料理店、フランス料理店
●TAVOLA CALDA SPELLOでは、店頭販売あり
従業員数16名
ホームページhttps://www.spello.jp/
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