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【人に感謝、仕事に感謝】創業者の想いとともに100年企業へ 株式会社空気清浄機サービス 取締役 山城 隆史 氏

株式会社 空気清浄機サービス 山城 隆史 氏)

今回は、株式会社 空気清浄機サービス(1981年創業)で取締役を務められている山城 隆史 氏にインタビューをさせていただきました。

山城さんは、社長であるお兄様と、事業モデルの転換や社員さんとの関係性の再構築を果敢に進められ、一時は危機的な状況に陥っていた会社を、今や毎年右肩上がりの成長を遂げる会社へと変革させた実績をお持ちです。

このインタビューでは、山城さんが直面した外部環境の変化による事業存続の危機とそれを乗り越えた事業転換、そして、当初は「敵」とさえ思っていた社員さんとの関係性改善の取り組みについてお話をお聞かせいただきました。

目次

父の会社に入ってみたら「ない」ものだらけ

株式会社空気清浄機サービスは、私の父が、たばこの喫煙所に入っている分煙機のメンテナンスと洗浄を行う会社として1981年に創業しました。

当時はたばこを吸う人が多く仕事のニーズがあったため、会社が大きくなっていき、最盛期には30人ちょっとの社員を雇用していました。

しかし、喫煙率の低下とともに、会社の業績も右肩下がりに、、、

そんな中、2015年に父が体調を崩したことを機に、それまで勤めていた建設機械の大手メーカーを退職し、取締役として空気清浄機サービスに入りました。

会社に入って最初に思ったのは、「なんなんだこの会社は?」ということでした。

組織の目的や目標がない。会議や朝礼もない。社員のやる気もない。
前職では当たり前にあったものがなく、愕然としたことを覚えています。

社長の息子であるがゆえの社員とのあつれき

さらに、当時の私は30代前半でしたので年上の社員たちがたくさんいました。

社長の息子ということもあり、いきなり取締役として社に入ったので、ある社員から

「社長の息子ってだけで取締役として戻れていいですね。」
「社長は尊敬しているけど、あなたは何ができるんですか?」
と嫌なことを言われたりしましたね。

私は前職で営業をやっていて、営業成績をあげていたという自負もありましたので、
「じゃあ、○○さんも個人の営業成績出してくださいよ。」と言ったら逆ギレされたり、

新規の案件をとってきて、「これお願いします。」と言ったら「いや、できません。」ということもありました。

なんでやらないのかわからないし、
愚痴ばっかりこぼしてくるし、
なんなんだこの人たちは、今まで俺はこんなに人間関係で悩んだことなんてないのに、、、
なんて悩んでいましたね。

そんな中、社長である父と私より先に会社に戻ってきていた兄(現社長)に、
「なんで会議をやらないんだ」とか、「朝礼をやらないんだ」という意見をぶつけたすえ、
私主導で朝礼や会議をはじめるようになりました。

当初、社員たちは、「なんでやるの?」「なんのために必要なの?」という反応でしたね。
目標とかもなかったので、それが逆に居心地が良かったというのもあったと思います。

今までやってなかったんだから、
今までと一緒でいいでしょ。みたいな雰囲気がありました。

最大の危機からの挑戦

2015年から3~4年経っても、そんなに売上は回復しない状態でしたが、組織の改革は続けていました。

そんな時に起こったのがコロナです。

喫煙所は三密だということで、軒並み使用禁止になったので、メンテナンスの売上が大きく落ち込みました。

さらに追い打ちかけられたのが、オリンピックです。

オリンピックに関連して、健康増進法が改正されたことによって、パチンコ屋さんのホールでたばこが吸えなくなりました。

これらによって、メンテナンスの3割を占めていた仕事がなくなりました。

さすがに、今までと同じでは、みんなの生活が守れなくなるという状態だったので、大胆に変革を進めることにしました。

その一つが、それまで社員には見せていなかった会社の売上を共有するです。

実際の数字を見せて、「このままいくと本当に大変なことになるよ。」と。

あわせて、「みんなの生活を守るために、新しいマーケットに挑戦していくんだ。
みんなで一緒に乗り越えていこう。」というメッセージを伝えました。

具体的には、焼肉屋さんや大手企業さんの工場の集塵機、業務用加湿器のメンテナンス、洗浄などを伸ばしていこうと。

ひょっとすると、それまで組織改革にまったく着手していなかったら、社員がパニックなっていたかもしれませんが、

そうならなかったのは、コロナ前から少しずつ改革の種をまいてきていたものが、最大の危機に直面したのをきっかけに花開いたからかもしれません。

結果として、新規マーケット開拓の挑戦はうまくいき、2021年以降はV字回復をして、毎年売上が順調に伸びています。

「敵」だとさえ思っていた社員との関係改善

私が会社に入った2015年から3~4年で、
約3割くらいの人が辞めていきました。

人間関係もあったと思いますが、どんどん仕事が減っていく中で、会社に対して希望みたいなものが持てなかったということもあると思います。

あとは、現場の人間から不満の声が上がっていたのですが、その声を会社が聞けていなかったり、上層部の言っていることが現場にうまく伝わらずに、ギャップが生まれていたということもあると思います。

このままではいけないと思い、
まず取り組んだのは職場環境を改善することでした。

まさに職場そのものを変えてしまおうということで、古くなっていた工場から、新しい工場に移転しました。

また、それまでの社内ルールを、
社員が働きやすいルールや効率的に働けるルールに変えていきました。

さらに、私が注力したのが、
社員とコミュニケーションをとることでした。

まずは一人一人の社員と年1回はしっかりと面談をするようにしました。
(今は年4回はやっています)

それまでは、仕事以外のコミュニケーションがなかったので、社員が何を考えているのかわからなかったですし、正直、興味すらありませんでした。

私自身が、心を閉ざしていてなんなら社員のことを「敵」と思っていたぐらいなので笑

この面談であがってきた社員からの意見や要望を聞いて、会社として改善できることはしていったことで、
社員との信頼関係が築けていったのではないかと思います。

父の死が社員に対する意識により大きな変化をもたらした

このような組織の改革を進める中で、
より一層社員に対する意識に大きな変化が生じたのが、2019年の父の死でした。

父の死やコロナでの危機があって、あらためて自分のことを振り返ってみたときに、自分が父にやりたいことをやらせてもらえたのは、この会社があって、そして会社がうまくいっていたからなんだ。

そして、父の会社と言っても、父だけで会社がやれていたわけではなくて、社員たちがいてくれたからなんだ。ということに気づき、感謝の心が芽生えました。

さらに、父の葬儀を会社としてみんなが手伝ってくれて、こうやってみんなに支えられていたんだなということを再認識し、絶対にこの会社をつぶしたくないという気持ちが強くなりましたね。

自分たちの代で創業70年までもっていき、さらに次の代に想いや技術を引き継いで、100年企業までもっていこうという話を社員にしています。

その過程で、今後もコロナみたいなことがいつあるかわからない、そのためにもいろんなことに挑戦していき、10年以内には世界進出にも挑戦しようという話もしています。

人を大切にするからこそ持続可能な経営になる

100年企業や世界進出を実現するためには、
「人を大切にする会社」であり続けることが間違いなく必要なことなので、

社員たちには、「人が中心の会社にしていくよ。」ということをしっかりと言葉にして伝えています。

そのために、3年前に会社の理念も改めて私たちの代でつくって、

【次世代のために持続可能な経営を行い、全社員と共に歩む】という理念を掲げて、実践を続けています。

私はふだん社員のことを社員と呼ばずに、メンバーと呼んでいるのですが、今いるメンバーが豊かになることが、それが私の幸せにもつながってくると思っています。

みんながやりがいを持って、物心両面で豊かになる、そういう組織でありたいと思っているので、私はメンバーに対して与え続けたい、それだけですね。

このような想いがメンバーにも伝わっているからだと思うのですが、コロナからV字回復してから、ここ3年は離職者ゼロできていますし、メンバーは着実に増えています。

ツギノ世代に残したいこと

「人に感謝、仕事に感謝」
という創業者である父の言葉、理念

先ほど申したように、私たちの代でつくった理念もあるのですが、その根底にある想いや言葉として、メンバーには伝えております。

メンバー同士が一緒に仕事をしているのは当たり前のことではありませんし、仕事があることも当たり前ではありません。

人と一緒に働けること、お客様から信頼され仕事を任されることに感謝することの大切さを、この先70年、100年とずっと伝えていきたいなと思っております。

こんな人と一緒に働きたい

協調性があって人を大切にしている人、特に家族を大切にしている人。

新入社員には、2か月くらいかけて全部署の仕事をしてもらいます。

これによって、他部署の大変さや苦労することがわかるので、コミュニケーションを取りやすくなるというメリットがあります。

会社概要

会社名株式会社 空気清浄機サービス
所在地【本社】
埼玉県戸田市美女木6-17-10
【大阪支店】
大阪市大正区三軒家西3-11-19
【沖縄営業所】
沖縄県糸満市真栄里1931
代表者代表取締役 山城 真志
事業内容●各種機器 メンテナンス(空調機・加湿器etc)
●各種フィルタ類の洗浄再生(集塵機・空調機etc)
●各種機器 レンタル(分煙機・加湿器etc)
●各種機器 販売・設置工事(空調機・分煙機etc)
●ダクト設置工事(工場・飲食店・オフィス)
●内装工事(喫煙室・工場・オフィス)
●カビ処理(食品工場・スーパーetc)
従業員数28名
ホームページhttps://www.kuuki.company/
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